退職時に有休を使い切る方法!喧嘩してもいいなら有休は全部使えるぞ。

退職時に有休を使い切る

退職時に有休を使い切る方法 喧嘩してもいいなら有休は全部使えます

「有給休暇なんて使ったことない」「うちの会社は使う人がいない」という人も多いでしょう。

有休、正式には年次有給休暇は法律上の権利ですが、在籍しているうちは事実として、なかなか使えないかもしれません。
ですが、辞めるときなら別です。

喧嘩同然に辞めるようなケースであれば、有休をすべて使い切ってしまうのもいいでしょう。
その方法を伝授します。

法律上の有休

有休は法律上の権利。
ですから、出勤率が足りないなど特殊なケースを除き、6か月以上普通に勤務している人なら与えられています。

フルタイマーや、パートタイマーでも週5日勤務している人の場合、就業開始から6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日付与されています。

この先は、1年ごとに14、16、18、20と、結構な日数が与えられます。
ただし、2年間で消滅しますので、使える有休は直近の2年分です。
最大40日ある可能性があります。

会社が抵抗したら

辞める人間が、すべての有休を使いたいと言われたら、会社としては嫌に決まっています。

ですが、必ず使い切れます。

法律上のポイントは、退職が決まっている人の場合、会社の権利である「年次有給休暇の時季変更権」が行使できないということです。
従業員がまったく自由に有休に行使しますと、会社の業務運営にさしさわりもありますので、会社にも「別の日に使ってくれ」という対抗策は一応あるわけです。

ですが、退職の決まっている人について別の日はありません。
対抗しようがないわけです。

ただし、「年次有給休暇の計画的付与制度」を、労使協定に基づいて設けている会社の場合は、最大40日も使えない可能性があります。
もっとも、「有休がたまっている」という人の会社に、そのような協定があるはずがないので、気にしなくていいでしょう。

有休を使い切る際注意すること

会社と喧嘩してもいいという前提でご説明しています。
なので、業界で評判が悪化すること等は考えないことにしますが、それ以外にも考慮すべきことがいくつかあります。

退職金のある会社の場合、会社に逆らうことで、退職金を減額されることがあります。
退職間際の賞与もこうした目に遭うかもしれません。

どちらも評価によるものなので、裁判では争いにくい事象であることは知っておきましょう。

それから、有休行使の間に次の会社に就職してしまうと、社会保険の加入期間が被って複雑になることがあります。
すぐに来てほしいと言われている場合、二重就労期間が解消するまではアルバイト扱いにしてもらうなど、工夫が必要です。

また、辞める会社のほうが有休期間中の二重就労を知ると、文句をつけてくる可能性もあります。
この状態、ただちに問題とはいえませんが、完全に許されるものとも言えません。

有休行使の方法

有休行使の方法

では、実際の方法です。

まず、年次有給休暇の日数を確認しましょう。
まったく使ったことがない場合は就業規則から、就業規則が未整備の場合は労働基準法に基づいて日数の算出ができます。

一部すでに使っている場合は、計算を間違えないようにしましょう。
有休行使がある場合、古い付与分から先に使ったと考えて構いません。
わからない場合、人事に確認しましょう。

法律上は、入社した日から6か月後を基準にして、その後1年置きに有休が与えられます。
ですが就業規則が整備されている場合、全従業員共通の付与日が設定されている場合が多いです。間違えないようにしましょう。

消化期間中に有休付与日を迎えれば、新たな有休が付与されます。
この有休も、在籍している限りは使い切れます。

有休の日数がわかったら、有休行使の開始日を自分で決めます。
これは、退職日を決めるより重要です。

そして、勤務するはずの日について、1日ずつ持っている有休をカレンダーに埋めていきます。
就業義務のない日に有休行使はできません。

土日休みの人が、土日に有休行使することは不可能です。
仮に、週1回いつも休日出勤していたからといって、勝手に就業日にしてはいけません。

シフト制で、いつ休むか分からない人であっても、月の勤務日数は決まっているはずなので、カレンダーを埋めることは可能です。
有休を使い終わった日が、退職日です。

退職日を先に決めておく必要があれば、逆に退職日から遡って有休を埋めていき、最終出勤日を決めましょう。

退職意思を申し出る

有休を合法的に使いきるためには、退職の意思表示も同時にする必要があります。

有休だけ先に使い切るとなると、会社に時季変更権を行使されることでしょう。

さて、喧嘩しても辞めるというのがテーマですので、一番確実な方法をお伝えします。
退職を拒否されないよう、内容証明郵便を使いましょう。

内容証明郵便は、郵便を出した日付と、書面の内容を記録するものです。
内容証明郵便は、集配を扱っている大きな郵便局から出します。

その際、「配達証明」も忘れないで付けてもらいます。
配達証明もないと、相手に届いたということが、確認できません。

内容証明郵便は、形式が決まっています。
横20字、縦を26行で作成しなければなりません。

最初から、内容証明郵便の決められた書式に合わせた退職届を作る必要があります。
同じものを3通作る必要がありますので、手書きよりワープロのほうが便利です。
形式は定められていますが、内容は自由に書いて構いません。
ただ、記載すべき内容を、次の通り漏らさないようにします。

・退職意思と退職日
・「一身上の都合」で構わないので退職事由
・年次有給休暇行使の意思と、行使する日程
「私○○は、○月○日からの、土曜日、日曜日および国民の祝日を除く各日について年次有給休暇を行使するとともに、最終行使日の△月△日をもって一身上の都合により退職することを届け出ます」としておけばいいでしょう。

もちろん、もっと詳細に書いても構いません。

内容証明郵便によって、退職の意思と有休行使の意思が、会社に届いたことが確定します。握りつぶすことはできません。

その後

退職時の有休全部行使の方法を解説しました。

ただし、上記の方法によって会社から解雇されたり、損害賠償請求をされたりする反撃までは防げません。
無理筋だとしても、別の話だからです。

その場合は弁護士に相談しましょう。

 

ペンネーム:弁天小僧

プロフィール:社会保険労務士出身の、労働問題に強いライターです。
社会保険労務士だったときは会社のためにアドバイスをしていましたが、その後会社員になり、自分が辞めるときに有休を使い切りました。