【ペンネーム】
丁稚定吉
【プロフィール】
ライターです。
落語とは、子供の頃からの付き合いです。
小学生の息子も落語好きです。
毎日更新の落語ブログ「丁稚定吉らくご日常」を運営しておりますので、よかったらどうぞお越しください。
ドラマ昭和元禄落語心中を視て、落語に興味を持った人も多いのではないでしょうか。
落語を聴きたいと思った人は、まず寄席に行ってみましょう。
寄席は初心者にとっても大変敷居の低い場所なのですが、どうしたらいいのかわからない人も多いかもしれません。
まったくの初心者に向けた、落語と寄席のご案内です。
寄席とは
落語を聴く場所はいろいろあります。
プレイガイドでチケットを取り扱っているホール落語も多いです。
また、地域でやっている落語会(地域寄席)もあちこちで開催されています。
そう言った中で、最初に落語を聴くなら寄席をお勧めします。
寄席は落語家の日常的な仕事場なのです。
昭和元禄落語心中の舞台である、東京の寄席に行くには、どこに行けばよいのでしょうか。
寄席は次の4軒です。
・鈴本演芸場(上野)
・浅草演芸ホール
・新宿末広亭
・池袋演芸場
それから、寄席に準じる存在として「国立演芸場」もあります。
毎月20日までは、金曜日以外は昼だけの開催ですが、寄席に含めても差し支えのない場所です。
その他にも、落語を毎日のように掛けている場所はたくさんあるのですが、まずは上記5軒のどれかに行ってみるのがお勧めです。
昭和元禄落語心中に出てくる架空の寄席「浅草雨竹ホール」は、浅草演芸ホールを撮影に使っています。
アニメ版では、物語の舞台は浅草ですが、寄席のモデルは新宿末広亭でした。
ここは昔の建物を残している寄席で、その外観や、桟敷席を残した内装が大変人気です。
池袋演芸場は、他と比べると非常に小規模です。
通の揃ったこちらの寄席は、ある程度落語に馴染んでから行くとより楽しめるかもしれません。
特にこだわりのない方に対しては、東京の寄席の最高峰でレベルの高い鈴本演芸場をお勧めします。
落語はいつやっているの?
落語は基本的に、年末の3~4日を除いて毎日聴けます。
どこの寄席も、昼席と夜席とがあり、昼席は正午頃、夜席は午後5時頃に始まります。
鈴本演芸場と、池袋演芸場の21~30日は入れ替え制ですが、それ以外は昼から、夜席のはねる午後9時頃まで居続けることができます。
2席分の料金を取られることもありません。
最初のうちは意外と疲れるのでお勧めしませんが、慣れるとこの居続けが、もっとも安く落語を楽しめる方法です。
寄席に出る落語家は、基本的に落語協会か、落語芸術協会の落語家です。
違いはありますが、初心者のうちから、どちらの協会の興行なのかはさほど気にしなくてもいいでしょう。
ただし鈴本演芸場については、現在落語協会の落語家のみ出演しています。
開演時間に行く必要はなく、また終演までいる必要もありません。
好きなときに入り、出ていって構いません。
ただ寄席は、いちばん最後に出てくる「トリ」の師匠を中心に番組が構成されていますので、時間の差支えがないならトリまでは聴きたいものです。
なお正月は、寄席は大変混みます。
昼席・夜席ではなく、3部~4部構成になり、システムがまったく異なるので気を付けましょう。
正月こそ落語を聴きたいという人も多いですが、正月は顔見世興行なので、一般的な落語の演目はあまり聴けません。
寄席の料金は?
寄席の料金は、大人1名2,500円から3,000円程度です。
決して高いものではありません。
2,100円と少々お安い国立演芸場は指定席ですが、一般の寄席は、特殊な興行を除いて自由席です。
雑誌「東京かわら版」を持っていくと、池袋以外は200円~300円の割引があります。
また、主任(トリ)の落語家の公式サイトやツイッターに、割引券が出ていることがありますので探してみましょう。
また、寄席には子供料金があります。1,500円から2,200円です。国立演芸場は1,200円です。
寄席の番組はどうなっている?
東京の寄席は落語中心です。
落語を聴いてみたい人には極楽です。
たっぷりと聴けます。
滑稽噺、つまり笑える噺が主ですが、トリの師匠からはしんみりとした人情噺も聴けます。
落語の舞台は江戸・明治期を扱ったもの(古典落語)がメインですが、落語家によっては、現代が舞台の新作落語を掛けます。
本格派もいますし、爆笑派、漫談派など様々なスタイルの落語で寄席の番組は作られています。
ですから飽きさせません。
通常、演目は事前にはわかりません。
演者も、直前まで決めていません。
ですから「あの噺が聴きたい」と思っていても、寄席では希望の噺を聴ける仕組みにはなっていません。
昭和元禄落語心中で掛かった「たちきり」「品川心中」など聴きたい人もいるでしょうが、落語の演目は大変多く、楽しい噺は無数にあります。
さて、落語だけでもバラエティに富んでいますが、そればかりが続くと、さすがに客も疲れてしまいます。
ですが寄席では、客の気持ちを飽きさせないよう、ちゃんと工夫をしています。
そのために出てくるのが色物芸人です。
「色物」は寄席の世界から出た言葉ですが、悪い意味はありません。
落語(と講談)以外の芸人を色物といい、寄席ではひとつの番組の中に色物芸人が2~4組程度必ず上がります。
紙切り、奇術、俗曲、太神楽(曲芸)、漫談、ものまねなどです。
どれも堅苦しいものではなく、落語で疲れた客の気持ちを和らげてくれる楽しい芸ばかりです。
事前に準備はいる?
落語は、日本語がわかる人にとっては難しいものではありません。
必要なのは、人の噺を聴く能力だけです。
それほど構えずに、気楽に行ってみればいいでしょう。
予習したければ、テレビやラジオ、ネット等で、何の演目でもいいので聴いてみましょう。
雰囲気の一端はわかります。